俺の話なんだけど、聞いてくれる?結婚して5年目、子どもが二人いるんだよね。上の子は女の子で、下の子は男の子。どっちもすごく可愛くてさ、仕事で疲れて帰ってきても、子どもたちの笑顔見ると癒されるんだよ。そんな普通の、まあ幸せな家庭だと思ってたんだ。でもさ…ある日、俺はふとしたきっかけであることに気づいたんだ。
それは、息子が俺とまったく似てないってこと。もちろん、遺伝なんて必ずしも親にそっくりになるわけじゃないのはわかってるよ。でも、俺も妻もどっちかって言うと色白なのに、息子はちょっと肌が黒っぽい。でもまあ、そんなの気にするのも馬鹿らしいし、深く考えなかったんだ。だって息子は本当に俺に懐いてるし、俺も心から可愛いって思ってたからさ。
でも、どうしてもそのことが頭から離れなくてさ…それでつい、内緒でDNA鑑定ってやつをやっちゃったんだよ。好奇心ってやつかな。その結果が出た日、開けるのがマジで怖かった。なんか、自分がとんでもないことをしてるような気がして。でもね、見ちゃったんだよ。
結果は……俺と息子の血縁関係は「なし」。読んだ瞬間、頭が真っ白になった。嘘だろ?って思って、何度も何度も書類を確認した。でも間違いない、俺の子どもじゃなかったんだ。動揺しすぎて、何も手につかなくてさ。何をどうしたらいいかわからなかった。
その日の夜、俺は妻に問い詰めた。結果を見せながら「これ、どういうことだ」ってな。妻は最初は黙ってたけど、泣き崩れながらついに白状したんだ。「ごめん、昔の恋人の子なの…」って。でもさ、それだけじゃなかった。彼女、さらにとんでもないことを言い出したんだ。
「実は、上の子も…そうなの…」って。
俺、息が止まるかと思った。本当に、自分の家族だと思ってた二人の子どもが、実は全然違う男の子どもだなんて。じゃあなんでこんなに懐いてくれてたんだよ?全部嘘だったのか?頭がぐちゃぐちゃで、その日は何も言えなかった。
そして、もっと怖いのはその翌日。冷静になろうとして子どもたちを送り出し、1人で家にいた時、リビングの棚からぽとっと古いアルバムが落ちてきたんだ。開いてみると、妻の若い頃の写真が出てきたんだけど、その隣には知らない男の写真が挟まってた。その男、どこかで見覚えがある気がして、よく見ると少しだけ息子に似てた。
その後、その男について調べてみたら、そいつ…もう何年前かに亡くなってるんだって。でも、その頃俺、背筋がゾッとしたよ。だって亡くなったはずのその男が、つい最近の夢に出てきたことを思い出したんだ。夢の中で、知らない男が俺の家のリビングに立っててさ、まっすぐ俺を見つめてたんだよ。「大事にしてくれてありがとう」って言ってた気がするけど、何のことかわからなくてただ「誰だよ」って夢の中で怒鳴った。でもその時はただの変な夢だと思ってたから、深く考えなかったんだ。
でも写真を見た瞬間、あの夢に出てきた男がこの写真の男と同一人物だってわかった。血の気が引いたよ。亡くなってるはずなのに、夢にまで現れて何を言ってたんだ?思い出すたびに鳥肌が止まらなくてさ。それから家の中でポツポツと妙なことが起こり始めた。子どもたちの部屋で、夜になると知らない男の声みたいなのが聞こえたり、ふとした時に背後に誰かの気配を感じたり。
一番恐ろしかったのは、ある晩一番恐ろしかったのは、ある晩寝室でウトウトしてた時だったんだ。ふと目が覚めて、薄暗い部屋の中で天井をぼんやり見てたら、窓の近くに誰か立ってるのが見えたんだよ。暗くてはっきりとは見えないけど、シルエットだけはわかる。あのアルバムに写ってた男と同じ体格、同じシルエットだった。全身の毛が逆立つ感じがして、金縛りにあったかのように動けなかった。するとその影がこっちにゆっくり近づいてきて、俺の耳元で何か囁いたんだ。
「守ってくれ。二人を頼む」…その声、しっかり聞こえたはずなのに、妻や子どもたちには何も聞こえなかったみたいなんだ。それからというもの、その男が本当は何を望んでいるのか、俺にはもう言葉じゃ説明できなくなった。ただ、あのアルバムを捨てるべきなのか、それとも手元に置いておくべきなのか、それすらもわからないまま、今も俺は毎日々を過ごしてるんだ。
でも最近ふとした瞬間に、息子が俺をじっと見てくる時があってさ、なんというか、妙な既視感を感じるんだよ。あの男の写真の中の目と、息子の目が重なる気がしてならない。ある晩、寝室に入ろうと思ってドアを開けたら、中から小さな声が聞こえてきたんだ。息子の声…じゃない。低い男の声で、「約束を忘れるなよ」って。思わず電気をつけたけど部屋には誰もいなくて、息子はすやすや寝てるだけだった。でもその背中に、見覚えのある大きな手の跡が薄く残ってたんだ…。
ホラー漫画は、恐怖や不安をテーマにした漫画の一ジャンルです。
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